「併せて」と「合わせて」の違いとは?ビジネスメールで恥をかかない使い分けの全貌
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漢字の意味の違いを理解したうえで、さらに一歩踏み込んだ知識として知っておきたいのが、行政機関や報道各社が採用している公用文の表記ルールです。実は、国の公用文作成の指針である内閣訓令「公用文における漢字使用等について」や、文化庁の「公用文作成の考え方(建議)」においては、漢字と平仮名表記のバランスについて明確な基準が設けられています。
公用文のルールでは、実質的な動作を表す動詞としての用法(「力を合わせる」「時計を合わせる」「両方を併せ持つ」など)には漢字を使う一方、文と文をつなぐ接続詞や、本来の動詞の意味が薄れて副詞的に使われる言葉については、原則として平仮名で表記することが推奨されています。具体的には、文頭で「なお、それに加えて」という意味で使われる場合、公用文では「あわせて、次の点についても検討する」のように平仮名で書くのが正式なスタイルです。
また、共同通信社『記者ハンドブック』や朝日新聞社、読売新聞社などのメディア各社の用字用語基準をひもとくと、興味深い実務ルールが見えてきます。報道各社の基準では、原則として「合致・統合・合計」は「合わせる」、「並列・添加」は「併せる」と書き分けつつも、接続詞的に「そのほかに・同時に」の意味で用いる場合は「併せて」または平仮名の「あわせて」と規定されています。
一般企業のビジネスメールにおいては、文中でも「併せてご確認ください」と漢字で書くのが広く定着しており、間違いではありません。しかし、以下のようなケースではあえて平仮名の「あわせて」を選択するのが、熟練した書き手のテクニックです。
- 文頭に接続詞として置く場合:「あわせて、来月の稼働予定もお知らせいたします。」(文頭の漢字密度を下げ、読み出しをスムーズにする効果がある)
- 前後に漢字が密集している場合:「先般提出した調査報告書とあわせてご検討ください。」(「調査報告書と併せてご検討」とすると漢字が連続して紙面が黒くなりすぎるため、平仮名で抜け感を作る)
- 「合」と「併」の両方のニュアンスが混在するグレーゾーンの場合:「過去のデータをあわせて分析する」(データを統合して1つにするのか、並べて同時に見るのか解釈が分かれる場合は、平仮名に開くことで違和感を完全に解消できる)