スピッツ「チェリー」30年の歩み!愛してるの響きだけでの歴史と現在地を徹底追跡
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スピッツが1994年に発表した名盤『空の飛び方』は、バンドが自身のロック性をポップネスへと昇華させる決定的な転換点となった作品だった。プロデューサー・笹路正徳との共同作業によって培われたその緻密なアンサンブルの手法は、1996年の『チェリー』において完全に結実している。
三輪テツヤのアルペジオギターは、単なるコード伴奏を超えて歌メロと対話するように配置されている。田村明浩のベースラインは歌謡曲的なルート弾きに甘んじることなく、独自のメロディアスな跳躍を繰り返す。そして﨑山龍男のタイトかつタメの効いたドラミングが、ポップな輪郭の中に確固たるロックバンドのダイナミズムを担保する。
過剰なシンセサイザーの装飾に頼らず、4人の生演奏のグルーヴを極限まで磨き上げたこのアコースティック・ロックのアプローチこそが、30年を経てもサウンドが古びない最大の要因だ。